「頼まれたら断れない」「つい『いいですよ』と言ってしまい、残業や仕事が増えてヘトヘト…」
そんな毎日が続いていませんか?
真面目で優しい人ほど、仕事でも家庭でも「NO」が言えず、知らないうちに心と体をすり減らしてしまいがちです。
でも、きちんと断ることはワガママではなく、あなたの健康と大事な人を守るために必要なスキルです。
この記事では、心理学でいう「アサーション(自他を大切にする自己表現)」の考え方をベースに、
相手を傷つけずに、仕事で「NO」を伝える5つのステップと具体例をわかりやすく紹介します。
頑張りすぎてしまうあなたが、少しずつ「無理なお願いにNOと言える自分」へ近づくための一歩として、ぜひ読んでみてください。
なぜ「NOと言えない」のか?よくある3つの背景
まずは、「NOと言えない自分」を責めるのをやめるところから始めましょう。
断れないのには、いくつかの理由があります。
1. 「いい人でいたい」という思いが強い
「断ったら嫌われるかも」「迷惑をかけたくない」——。
まじめで責任感が強い人ほど、相手の気持ちを優先し、自分の本音を後回しにしがちです。
しかし、その結果、自分の時間・体力・心のエネルギーがどんどん削られていくことになります。
2. 日本の職場文化や同調圧力
「和を乱さない」「空気を読む」ことが大切にされる日本の職場では、
NOを言う=協調性がないと捉えられそうで怖い、という声もよく聞きます。
ですが、最近は厚生労働省なども、メンタルヘルスや働き方の見直しを強く推進しています。
長時間労働や、無理な働き方を前提とした「頑張りすぎ」は、社会全体でも見直されてきています。
3. 評価やキャリアが不安で断れない
「断ったら評価が下がるかも」「昇進に響くかも」と不安で、頼まれごとを全部引き受けてしまうパターンもあります。
しかし、すべてを抱え込んでパンクしてしまえば、かえってパフォーマンスも信頼も落ちてしまう可能性があります。
大切なのは、無理なものは無理と伝えつつ、仕事を前に進めるための「建設的なNO」を身につけていくことです。
「NO」を言えないことが招くリスク
「まあ、私が頑張ればいいか」と、いつも自分が最後に引き受けていませんか?
その積み重ねは、次のようなリスクにつながります。
- 残業や休日出勤が増え、慢性的な疲れ・肩こり・睡眠不足になる
- イライラや不安が増え、家族や同僚に当たってしまう
- 「私ばかり損している」という不公平感が募り、仕事が嫌になる
心身の不調やメンタル不調が長く続けば、休職や退職につながることもあります。
だからこそ、頑張りすぎを防ぐための「NOの伝え方」を、今のうちから身につけておくことが大切です。
相手も自分も大切にする「アサーション」とは?
ここで大事になるのが、アサーション(アサーティブ・コミュニケーション)という考え方です。
アサーションとは、「自分も相手も大切にしながら、自分の意見や気持ちを率直に伝えるコミュニケーション」のこと。
「我慢して何も言えない」でもなく、「感情的にキツく言う」でもない、ちょうど中間のあり方です。
コミュニケーションには、大きく分けて次の3つのタイプがあります。
- ノンアサーティブ:言いたいことを我慢してしまう(自分を犠牲にしがち)
- アグレッシブ:自分の言いたいことだけを押し通す(相手を犠牲にしがち)
- アサーティブ:自分と相手、どちらも大切にして伝える
この記事でお伝えする「NOの伝え方」は、このアサーティブな伝え方をベースにしています。
仕事で使える「NOの伝え方」5つのステップ
ここからは、実際に仕事で使える「NOの伝え方」を、5つのステップに分けて解説します。
STEP1:頼まれごとの内容を、まず事実として確認する
いきなり「無理です」と言うのではなく、まずは
「◯◯の資料を、今日中に仕上げてほしいということですね」
といった形で、相手の依頼内容を事実として確認します。
これだけで、相手は「ちゃんと話を聞いてくれている」と感じやすくなります。
STEP2:自分の状況や気持ちを「I(アイ)メッセージ」で伝える
次に、自分の状況や気持ちを、「私は〜と感じています」という形で伝えます。
例:
「私自身、今日中の別案件の締め切りが重なっていて、かなり時間がタイトな状況です」
「今のスケジュールだと、どちらも中途半端になってしまいそうで心配です」
「あなたの依頼は無理です」ではなく、
「私には今こういう事情があります」と、自分を主語にして伝えるのがポイントです。
STEP3:できる範囲の代替案・妥協案を出す
ただ「できません」と突き放すのではなく、できる範囲での代替案や妥協案を提示します。
例:
「明日の午前中までであれば、私が対応できます」
「全ては難しいのですが、◯◯の部分だけなら今日中に対応可能です」
「私ではなく、△△さんのほうが、この件は詳しいので力になれるかもしれません」
相手も仕事を進めたいだけなので、代わりの選択肢が見えると、お互いに折り合いをつけやすくなります。
STEP4:感謝と信頼の一言を添える
NOを伝えるときほど、「感謝」と「信頼」の一言を添えると、ぐっと伝わり方が変わります。
例:
「いつも私を頼ってくださってありがとうございます」
「お役に立ちたい気持ちはあるので、こういう形ならどうでしょうか」
「あなたのことを大事に思っています」というメッセージが伝わると、
NOそのものも、受け入れてもらいやすくなります。
STEP5:それでも押されるときは「くり返しNO」でブレずに伝える
こちらが事情を説明しても、「そこをなんとか」「みんなやっているから」と押されることもあります。
そんな時は、感情的にならずに、
同じメッセージを少し表現を変えながらくり返すのがポイントです。
例:
「お気持ちはわかるのですが、先ほどお伝えしたように、今日中は難しいです」
「お役に立ちたいのですが、今のままではどちらの仕事も品質が落ちてしまうので、難しいです」
「ダメなものはダメ」を、丁寧にくり返し伝えることで、
自分の限界ラインを守りながら、関係性も壊しにくくなります。
ケース別・仕事の「NOの伝え方」例文集
ここからは、よくあるシチュエーション別に、NG例とOK例を見ていきましょう。
ケース1:締め切りが詰まっている時に、急ぎの仕事を頼まれた
NG例:
「無理です」「今、忙しいんで」
OK例:
「◯◯の件ですね。
今、今日中締め切りの案件を2件抱えていて、このままではどちらも中途半端になってしまいそうです。
明日の午前中であれば時間を確保できますが、締め切りを調整することはできますか?」
ケース2:繰り返し残業を頼まれている
OK例:
「いつもお声がけいただいてありがとうございます。
ここ最近、残業が続いていて、少し体調面が気になっています。
今日は定時で上がって体を休めたいので、残業は難しいです。
明日以降であれば、どこまでお手伝いできるか一緒に考えさせてください。」
ケース3:どうしても行きたくない飲み会に誘われた
OK例:
「お誘いありがとうございます。声をかけていただけて、とても嬉しいです。
ただ、最近少し疲れがたまっていて、今日は早く休みたいので参加は見送らせてください。
また別の機会に、体調が落ち着いたときにご一緒できたら嬉しいです。」
ポイントは、相手を否定せずに、自分の事情を正直に伝えることです。
「NO」を言うのが怖いときのセルフケア
頭では「NOと言わなきゃ」とわかっていても、体が固まってしまうこともあります。
そんなときは、次のようなステップで、少しずつ練習してみてください。
1. 小さな「NO」から練習する
いきなり大事な仕事でNOを言おうとすると、ハードルが高く感じます。
まずは、コンビニで「袋はいりません」と伝える、
家族に「その日は予定があるから難しい」と言ってみる、など、小さなNOから練習してみましょう。
2. 事前に「台本」を書いておく
いざというときに言葉に詰まらないよう、
事前に、自分なりのフレーズをメモに書いておくのもおすすめです。
例:
「お力になりたいのですが、◯◯という事情があって、今回は難しいです」
「品質を落としたくないので、ここまでなら対応できます」
3. 信頼できる人や専門家に相談する
一人で抱え込まず、信頼できる同僚や友人、家族に相談してみるのも大切です。
「こういう断り方はどう思う?」と、人に聞いてみるだけでも心強くなります。
また、つらさや不安が長く続く場合には、職場の産業医・カウンセラーや、
自治体・公的機関の相談窓口を利用する選択肢もあります。
まとめ:上手な「NO」は、あなたと周りを守る大事なスキル
「NOを言うなんて申し訳ない」と感じてしまう人ほど、
実は一番、NOを身につける必要があります。
- NOを言えない背景には、「いい人でいたい」「評価が不安」などの気持ちがある
- 断れない状態が続くと、心身の不調や仕事のパフォーマンス低下につながる
- アサーションの考え方を使うと、「自分も相手も大切にするNO」が伝えられる
- 5つのステップ(事実→自分の事情→代替案→感謝・信頼→くり返しNO)が実践のカギ
上手な「NO」は、自分を守るための防具であり、仕事を長く続けるための大事なスキルです。
今日紹介したフレーズのうち、気に入ったものを一つだけでも使ってみてください。
そして、「そもそも頑張りすぎてしまう背景」や「心と体の整え方」については、
別記事の
▶︎仕事で頑張りすぎてしまうあなたへ:心と体を守るチェックリストと対策
も、あわせて読んでみてください。
少しずつ「頑張りすぎない自分」「NOと言える自分」を育てていきましょう。
和ませ屋 代表:三宅 匡彦(まっさん)
作業療法士として約25年以上、介護老人保健施設などで延べ5万人以上のリハビリに関わってきました。現場では、すでに身体が固くなり、痛みや変形が進んで「本当はもっと早く出会えていれば…」と感じる方を数多く見てきました。その経験から、「動ける今こそがいちばんのチャンス。悪くなる前に予防することこそ大事だ」と強く実感し、和ませ屋を立ち上げました。
現在は、姿勢・肩こり・巻き肩の改善やコアチューニング®を通じて身体を整えるだけでなく、国家資格キャリアコンサルタントとして、働く人のメンタルやキャリアの相談も行い、「身体 × 心 × キャリア」を三位一体でサポートしています。香川・岡山エリアを中心に、介護予防教室や企業向けの健康経営サポートにも取り組んでいます。
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