香川県に住んでいると、つい口から出るのは「今日、どこのうどん行く?」という言葉ではないでしょうか。
朝うどん、昼うどん、休みの日は「はしごうどん」。
そんなうどん文化は、香川県民の誇りでもあります。
一方で、作業療法士として高齢者のリハビリに関わってきた立場から見ると、
「うどんだけで食事を済ませる習慣」が、フレイル(虚弱)を進めてしまっているケースも少なくありません。
この記事では、うどん県民だからこそ知っておきたい
「かしこい」うどんの食べ方とフレイル予防のポイントを、わかりやすくお伝えします。
うどん県民とフレイルの意外な関係
まずは「フレイル」という言葉の意味をおさらいしておきましょう。
フレイルとは、健康な状態と要介護状態の中間にある「心身の活力が低下した状態」のことです。
- 体重が減ってきた
- 歩くスピードが遅くなった
- 外に出るのがおっくうになってきた
- なんとなく元気が出ない・疲れやすい
こうした小さな変化が積み重なると、転倒・骨折・寝たきりなどのリスクが高まります。
フレイルを予防するための柱は大きく3つ。
- ① 栄養(特にたんぱく質)
- ② 運動(筋力・バランス・持久力)
- ③ 社会参加(人とのつながり)
このうち、香川県民で特に意識したいのが「栄養=たんぱく質」です。
65歳以上の高齢者では、フレイルやサルコペニア(筋肉減少)を予防するために、
体重1kgあたり1.0g程度のたんぱく質を毎日とることが望ましいとされています。
(体重60kgの方なら、たんぱく質60gが目安)
では、うどん生活のどこに落とし穴があるのでしょうか。
なぜ「うどんだけ」だとフレイルになりやすいの?
うどんは、安くて早くておいしい優秀な主食です。
しかし、栄養素の中心は炭水化物(糖質)。エネルギー源にはなりますが、筋肉や血液、ホルモンなどの材料になるたんぱく質はごくわずかです。
もし、次のような食べ方が続いていると要注意です。
- 「かけうどん+おにぎり」だけで済ませることが多い
- 「ぶっかけうどん(具はネギとレモンだけ)」が定番
- トッピングは天かす・油揚げ少々だけ
これでは、ほとんどが炭水化物。
お腹はふくれますが、筋肉の材料であるたんぱく質が圧倒的に不足してしまいます。
たんぱく質不足が続くと…
- 筋肉量が減る → 立ち上がり・歩行がしんどくなる
- 疲れやすくなる → 活動量が減る → さらに筋肉が減る
- 食欲や気力も落ちていき、フレイルの悪循環に
だからこそ大事なのは、うどんをやめることではなく、
「うどんの食べ方」を少しだけ賢く変えることです。
これが「かしこい」うどん!たんぱく質を足すシンプルなコツ
ここからは、今日からできる「たんぱく質強化うどん」のコツをご紹介します。
① まずは「+10gのたんぱく質」を意識する
いきなり完璧を目指す必要はありません。
まずは「いつもの一杯に、たんぱく質を+10g」を目標にしてみましょう。
たとえば、たんぱく質約10gの目安は、
- 卵 1個(Mサイズ) … 約6〜7g
- 厚揚げ 1/2枚 … 約7〜8g
- 鶏むね肉 50g … 約10g前後
- ちくわ 2本 … 約6〜8g
これらをうどんの上に1品プラスするだけでも、フレイル予防に一歩近づきます。
② うどん屋さんで選びたいトッピング
香川のうどん屋さんには、たんぱく質の宝庫が並んでいます。
- 鶏肉:鶏天、かしわ天、鶏の唐揚げ
- 豚肉:豚しゃぶ、肉うどんの具
- 魚:ちくわ天、魚の天ぷら、いりこ出汁の具
- 卵:温泉卵、生卵、卵とじうどん
- 大豆製品:きつね(油揚げ)、厚揚げ
とくに卵+厚揚げのコンビはおすすめです。
シンプルなかけうどんでも、卵と厚揚げを組み合わせれば、たんぱく質はグッとアップします。
③ サイドメニューは「おにぎりより◯◯」
つい手が伸びがちなのが、おにぎりやいなり寿司。
ですが、炭水化物がさらに増えるだけで、たんぱく質はほとんど増えません。
フレイル予防を考えるなら、こんなサイドメニューを優先しましょう。
- 冷奴・湯豆腐・厚揚げ料理
- だし巻き卵・茶碗蒸し
- 焼き魚・刺身・煮魚
「うどん+おにぎり」から、
「うどん+卵」「うどん+豆腐・魚」に変えるだけでも、筋肉を守る力が変わります。
コンビニ・自宅でもできる「かしこい」うどんアレンジ
外食だけでなく、自宅やコンビニでも、うどんの食べ方は工夫できます。
コンビニでそろえる場合
- レンジうどん + サラダチキン
- カップうどん + ゆで卵
- 冷凍うどん + 冷奴
「うどんだけ」を避けて、必ずたんぱく質のおかずを1〜2品プラスしましょう。
自宅でできる簡単レシピ例
- 卵とじうどん+厚揚げ
だし汁でうどんを温め、溶き卵と刻んだ厚揚げを入れるだけ。 - 豚しゃぶぶっかけうどん
冷凍うどんに、さっと茹でた豚肉・温泉卵・千切りキャベツをトッピング。
難しいことをしなくても、いつもの一杯に「タンパク質の主役を1つ足す」意識だけで十分です。
「うどん+運動」でフレイル予防はもっと進む
フレイル予防には、栄養だけでなく運動も欠かせません。
たんぱく質をしっかりとっても、
座りっぱなしで筋肉を使わなければ、筋肉は少しずつ減っていきます。
おすすめは、
- 毎日5〜10分の「その場足踏み(マーチ)」
- イスからの立ち座りをゆっくり10回
うどん屋さんに行くついでに、
「少し遠くに停めて歩く」「段差や階段を意識して使う」など、
日常の中でできる工夫も立派なフレイル予防です。
転倒予防のための具体的な運動については、
別記事で「回数の目安やフォーム」も詳しく解説していますので、そちらも参考にしてみてください。
家族としてチェックしたい「うどん習慣」とフレイルサイン
もしあなたが、香川県で暮らす親御さんを心配している立場なら、
次のようなポイントを一度チェックしてみてください。
- 食事が「うどん中心」になっていないか
- 肉・魚・卵・大豆製品を食べる回数が減っていないか
- ここ1〜2年で体重が2〜3kg以上落ちていないか
- 歩くスピードが以前より遅くなっていないか
こうした小さな変化は、フレイルの「初期サイン」であることが多いです。
心配なときは、かかりつけ医や地域包括支援センターなど、
地域の専門職に相談することも検討してみてください。
まとめ:「かしこい」うどんで、ずっと元気なうどんライフを
香川県民にとって、うどんはただの食べ物ではなく、「暮らしの一部」です。
だからこそ、うどんをやめるのではなく、「かしこく食べて、元気に食べ続ける」ことが大切です。
- うどんだけで済ませず、たんぱく質を必ずプラスする
- トッピングやサイドメニューで、卵・肉・魚・大豆製品を選ぶ
- 「うどん+運動」で、筋肉とバランス力も一緒に守る
ちょっとした工夫で、いつもの一杯が「フレイル予防の一杯」に変わります。
「最近、親の食事や体力が心配…」「このままの食生活で大丈夫かな?」と感じたら、
一人で抱え込まずに、専門家に相談してみることも大切です。
フレイル予防やたんぱく質のことを、もっと深く学びたい方へ
この記事ではポイントをかいつまんでご紹介しましたが、
「食事やたんぱく質のことを、もう少し体系的に知りたい」「家でもできる転倒予防の体操を学びたい」という方には、次のような書籍も参考になります。
① 60歳からの長生きたんぱく質主義
シニア世代に必要なたんぱく質の考え方や、日々の食事への取り入れ方がやさしく解説されている一冊です。
「うどん生活を続けながら、どうたんぱく質を足していくか」のヒントにもなります。
② 口トレ・脚トレで“若返り”! 老化のもと「フレイル」を防ぐ
フレイルの基礎知識と、口の筋トレ・脚のトレーニングがイラスト付きで紹介されているムック本です。
運動が苦手な方や、ご家族と一緒に取り組みたい方にもおすすめです。
※体調や持病によっては、自己判断で運動や食事内容を大きく変えず、かかりつけ医や専門職にご相談ください。
和ませ屋では、介護予防・フレイル予防の相談や、体操教室のご案内も行っています。
LINEからお気軽にご相談ください。
※持病のある方や食事制限のある方は、自己判断で大きく食事内容を変える前に、
かかりつけ医・管理栄養士などの専門職にご相談ください。
和ませ屋 代表:三宅 匡彦(まっさん)
作業療法士として約25年以上、介護老人保健施設などで延べ5万人以上のリハビリに関わってきました。現場では、すでに身体が固くなり、痛みや変形が進んで「本当はもっと早く出会えていれば…」と感じる方を数多く見てきました。その経験から、「動ける今こそがいちばんのチャンス。悪くなる前に予防することこそ大事だ」と強く実感し、和ませ屋を立ち上げました。
現在は、姿勢・肩こり・巻き肩の改善やコアチューニング®を通じて身体を整えるだけでなく、国家資格キャリアコンサルタントとして、働く人のメンタルやキャリアの相談も行い、「身体 × 心 × キャリア」を三位一体でサポートしています。香川・岡山エリアを中心に、介護予防教室や企業向けの健康経営サポートにも取り組んでいます。
『和ませ屋公式LINE』



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