「大事な会議ほど、直前にドキドキして頭が回らない…」「準備は完璧なのに、発言の番で集中が切れる…」――そんなときこそ90秒のコア呼吸が味方です。
ポイントは吐く息を少し長めにして、体幹(コア)と姿勢をやさしく整えること。吐く息が長い呼吸は、自律神経のうち“落ち着き”をつくる働き(迷走神経)を助け、緊張をしずめることが日本語の研究レビューでも示されています。(J-STAGE)
この記事では、会議直前にその場でできる90秒の手順と、なぜ効くのかという科学的背景をやさしく解説します。
なぜ「90秒」なの?――短時間でも効く“吐く息長め”とコアの理由
1) 吐く息を長くすると、心拍が落ち着きやすい
呼吸に合わせて吸うと心拍が少し上がり、吐くと下がるという生理現象(呼吸性洞性不整脈)があり、ゆっくり呼吸にするとこのゆらぎが大きくなってリラックスに向かいやすいことが解説されています。(公益社団法人日本心理学会)
また、日本語の心理学レビューでも**「ゆっくり長く吐く呼吸」**が感情や生理の沈静化に有効とまとめられています。(J-STAGE)
2) 姿勢を起こし“コア”を使うと、深い呼吸になりやすい
呼吸法の解説では、腹部(横隔膜)が働く呼吸と姿勢の関係、そして**多くの呼吸法で「吸気より呼気を重視」**することが紹介されています。姿勢を整えてコアが働くと、深く・静かな呼吸に入りやすくなります。(J-STAGE)
3) 「短時間でもOK」を支えるデータ
呼吸リズムを整える実験では、個人に合ったゆっくりペースで短時間でもリラックス感が向上しうることが報告されています(心拍変動バイオフィードバック領域の国内レビュー)。(J-STAGE)
さらに、腹式(呼息中心)と胸式の違いで気分が変わることを示した国内研究もあり、会議直前の**短い“呼息重視”**は理にかなっています。(九大コレクション)
【実践】会議直前90秒「コア呼吸」——どこでもできる3ステップ
ステップ1:姿勢セット(10秒)
- 椅子に深く座り、坐骨で座面を感じる
- みぞおちを軽く引き上げ、肩の力を抜く
- あごを1cmだけ引く(首の後ろがスッと伸びる)
ステップ2:4–1–5のリズムで呼吸(60秒)
- 4秒 吸う(鼻):お腹→肋骨→鎖骨の順に“下からふくらむ”意識
- 1秒 とどめる:みぞおちをそっと長く
- 5秒 吐く(口):遠くのろうそくをやさしく消すイメージで細く長く
- これを6サイクル(約60秒)。**「吐く>吸う」**を守るのがコツ。(公益社団法人日本心理学会)
ステップ3:意図づけ(20秒)
- 目を閉じ、胸の鼓動と静けさを感じる
- 心の中でひとこと:「落ち着いて、要点から話す」
- そっと目を開け、会議室へ
90秒コア呼吸で得られる3つの実感
- 心の安定:吐く息優位で緊張のトーンが下がり、落ち着いて話し出せる。(J-STAGE)
- 判断のキレ:姿勢+深い呼吸で頭のモヤが晴れ、要点整理がしやすく。(J-STAGE)
- 短時間リフレッシュ:自分に合う呼吸ペースに合わせるだけで、数十秒単位でも切り替え効果が期待できる。(J-STAGE)
効果を最大化する小さなコツ
- タイミング:会議室に入る手前(ドアの前・エレベーター内・廊下)
- 合図を決める:カレンダー通知→3分前に席を立つ/ドアノブに触れたら1サイクル
- 習慣化:余裕がある日は前夜+当日直前の2回。続けるほど“入りやすく”なります。(J-STAGE)
まとめ
- 会議前は**「姿勢を起こす+吐く息を長め」**の90秒。これだけで自律神経が整い、落ち着きと集中が戻ります。(公益社団法人日本心理学会)
- まずは今日の会議で4–1–5×6サイクルをお試しください。静かな自信で、要点から話し始められます。
※めまい・過換気の既往、心肺疾患などがある方は、無理をせずゆっくりから。体調に不安があれば医療専門職にご相談ください。
参考
- 井上佳奈(2016)「ため息はやる気を高める」日本心理学会大会。長く吐く呼吸が感情・生理の沈静化に有効とするレビュー。(J-STAGE)
- 日本心理学会「心理学ワールド」:**呼吸と心拍変動(RSA)**のわかりやすい解説。(公益社団法人日本心理学会)
- 麓正樹(2011)「スムーズな動作につながる呼吸法と力の抜き方」:呼気重視や姿勢・横隔膜の基礎解説。(J-STAGE)
- 梅沢章男(2020)「心拍変動バイオフィードバックによる呼吸法の評価」:快適な呼吸ペースとリラックス感の関係。(J-STAGE)
- 千ゆう子ほか(2023)「腹式/胸式呼吸が気分に与える影響」:呼息中心の腹式がリラックス感に関与。(九大コレクション)


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